ちょうど２年

あの日僕は、仙台市内のビル５階にある整形外科の待合室にいた

ＴＶを観ていると急に聞きなれない音があちこちから聞こえ始めた

その音は携帯電話からだった

と同時に揺れ始まった

地震だ

揺れがなかなかおさまらない

だんだん強くなる

壁に飾られている陶器などが次々と落ち始め、椅子にも座っていられない状態になった

まわりからは悲鳴が聞え、自分も冷静を装うのがやっとだった

この世の終わりだと思った

僕はここで死んでしまうのだとも思った

物凄い揺れがちょっとおさまった時、非常口から避難させられた

ビルの前の歩道に出るとたくさんの人がいた

ビルの壁は崩れ、ガラスも割れ落ち歩道のあちこちに散乱してるところもあった

頻繁に揺れが起こる中、何が起こったのかわからず、暫くボーっと立っていた



車を止めていた立体駐車場に向かうと、停電でゲートが開かず出口は混雑していた

車に乗り込み、揺れられる車中でテレビを観ていると、どこかの港を映していた・・・

「あれは津波でしょうか？・・・」

白い１本の線が映し出されてはいたが、アナウンサーもわからないようだった


「津波です！津波です！」

巨大な津波は、大きな船を簡単にのみ込んでいった

まるで、映画を観ているようで、この世のことだとは到底信じられなかった…



僕はやっとの思いで、自分の町に帰って来れた…



あの日からちょうど２年、今は何もなかったかのように生活している


もとの生活に戻れない人たちがまだまだたくさんいるのに…

とても胸が熱くなる